(リチウム電池の包装基準 PI 967とPI 970についてリチウム電池マークの質問です。)

Q.
混載貨物の中に複数荷主のリチウム電池を内蔵した貨物がある場合の取り扱いを知りたい。下記の事例の場合、すべての包装物にリチウム電池マークを貼付し、MAWBに(PI 967/PI 970) Section IIに合致したリチウム(イオン/金属)電池と表示し、HAWBには表示不要で良いでしょうか?

事例 (1)
リチウム・イオン組電池1個を内蔵の機器1台収納する包装物が2個とリチウム・イオン組電池1個内蔵の機器3台を収納する包装物が1個の場合、

事例 (2)
リチウム・イオン組電池1個内蔵の機器1台を収納する包装物が2個とリチウム金属単電池1個内蔵の機器1台を収納する包装物が1個の場合、如何になりますか。

なお、MAWBに該当貨物が2個以下の場合、電池マークは不要との規定ですが、MAWBの文言記載を条件に電池マークを貼付した場合は規定違反になりますか、また受託可とする場合、その根拠をアドバイスしてほしい。

個数制限規定の経緯、いつから導入されたのか知りたい。

私見としては、(a) AWB 1件当たり、電池の種類を問わず、機器内蔵電池を収納する包装物が2個以下、(b) 各包装物の適用数量は単電池4個以下、組電池は2個以下が数量制限のルールと解釈している。従って機器内蔵電池を収納する包装物が3個以上あれば、包装物の電池の種類、数量に関係なく、すべての包装物に電池マークを貼付することが正しい規定と理解している。この理解でよろしいか、ガイダンスをお願いします。 (2021.12.31)
A.
お尋ねの件、包装基準から簡潔にお答えします。

先ず、お尋ねの数量によってリチウム・マークを貼付する規定は2016年の第57版から始まっています。導入の理由は分かりませんが、ルールの簡素化以外に思い当たりません。57版の規則書の文言は、PI 967、PI 970とも、Additional Requirements –Section ii に:”Each package must be labeled with a lithium battery handling label(Figure 7.4.H). This requirement does not apply to consignments of two packages or less where each package contains no more than four cells or two batteries installed in equipment.”となっています。そして、この規定が来年2022年から有効になるDGR第63版の次の規定に繋がります。63版の文言は、PI 967、PI 970とも、Additional Requirements – Section IIに、”The application of the lithium battery mark (Figure 7.1.C) does not apply to:consignments of two packages or less where each package contains no more than four cells or two batteries installed in equipment.”となっています。

これを踏まえて、事例の (1) は貨物が合計3個ありますので、マークの免除規定に当てはまらず、3個の包装物にそれぞれリチウム電池マークを貼付し、AWBに所定の文言を記入しなければなりません。事例の (2) も同様、貨物の合計は3個ありますので、3個の貨物にそれぞれリチウム電池マークを貼付し、AWBに所定の文言を記入しなければなりません。規則書の英文に “consignments of two packages or less” (貨物が2個以下)と1件の貨物単位で包装物個数は2個以下と示しています。1件のAWBに個数が3個であれば、マークは免除されません。

ご質問の一つに、MAWBの文言記載を条件に電池マークを貼付した場合、規定違反になるかと言う質問がありましたが、貨物が2個以下で、内容物がセル4個以下、バッテリー2個以下であればリチウム電池マークは不要なのに、何故無理にマークを貼るのですか?意図が理解できません。不必要な作業と思います。広義の規定違反になり、現場が混乱します。受託の対象にもならないと思います。

なお、フオワーダーと航空会社間の運送契約は MAWB単位です。危険物輸送の貨物単位も HAWB単位ではありませんので、ご注意ください。
最後に、貴方の私見による理解の (a) と (b) は正しい解釈です。

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