(DGラベルとGHSマークの不一致についての質問です。)

Q.
問題の危険物は化学薬品でUN3148 Div. 4.3と申告書にあります。一方、この貨物には区分4.3のDGRラベルのほか、GHSラベルが3枚 (Flammable 可燃性、Corrosive腐食性と、Harmful 間投詞のマークで、皮膚、呼吸器、眼に危険) が貼付されています。

DGR 7.2.8に、規則書のラベルに加え、国の規則により他のラベルが必要とされる場合は、それらの他のラベルが色彩や形状において本規則によるラベルと類似または混乱を生じないかぎり、それらの使用は認められる、との記載があることから、問題ないと考えます。見解を教えてください。 (2021.4.30)
A.
本件にはDGR 7.2.8項は当てはまりません。7.2.8項で言及している事 は、他の規則のラベルは、DGRのラベルに対して、色彩、デザイン、形状で紛らわしくなければ使用して差し支えないと言うことで、本件のようにUN3148 Water reactive liquid, n.o.s.★ 区分4.3の貨物に第8分類を示すGHSラベル(正式にはPictogram ピクトグラム[絵文字]と言う)が貼付されている事の方が解明しなければならない問題です。

UN3148にはClass 8の危険性はありません。ご存じのとおりGHSは化学薬品を実際に使用するユーザーの方々の安全の為に物質の危険性を知らせるために危険物の国連モデル規則書を作成している同じ国連の危険物専門家委員会が作った規則書です。ユーザーを対象にしたGHSに対して、DGRは危険物を輸送する人達を対象に作られた規則書になります。

UN3148に区分4.3以外の危険性は記録されていません。DGR区分4.3はGHSでは
”Flammable”と”Harmful”の2つのpictogramで整合性が保たれ、問題はありませんが、”Corrosive”のpictogramが何故付いたのか究明しなければなりません。梱包を解いて、UN3148を使う段になって、急にClass 8の危険性が出て来るのは不自然です。このような貨物が来た場合は、安全データシート(Safety Data Sheet - SDS) を取り寄せて全項目を精査し、GHS規定上 Class 8のpictogramが貼付された根拠を調べ、DGR 3.8.3項上、腐食性がPG IIIに満たなければ無視できます。仮に腐食性がPG IIIを満たし、或いは超えていれば、DGR上もClass 8に該当し、国連番号はUN3129 Water reactive liquid, corrosive, n.o.s.★ Div. 4.3 (Class 8) に該当することになります。搭載時に他の危険物に対し隔離をする必要が出て来ます。このような DGRとGHSの不一致は解明しなければなりません。

GHSの規定はメーカーは勿論、末端のユーザーの方々にも浸透して来ていますので、危険物規則書のAppendix B 4 にピクトグラムと共に解説が掲載されています。本件については、結果的に搭載時の隔離にも影響して来ますので、注意が肝要です。

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