(Hand Sanitizer (手指消毒器) について再度の質問です。)

Q.
2020年4月30日の「良くある質問」で消毒用アルコールを含んでいる Hand Sanitizerの機内持ち込みの可否について質問がありました。答えは、『アルコールは危険物 (UN1987 Alcohols, n.o.s. Class 3) なので、Hand Sanitizer からアルコールを完全に除去して、携行してください。アルコールは旅行先で購入、充填して使用してください。個数は機内持ち込み手荷物の範囲内にしてください。』でした。

DGRの旅客の手荷物に関する表 2.3.A によると、『放射性物質でない医薬品や化粧品 (エアゾールを含む) で、例としてヘアスプレー、香水、コロン、及び、アルコールを含む薬、並びに、副次危険性のない非引火性、非毒性の区分2.2のスポーツもしくは家庭用のエアゾール は運航者の許可なく預託手荷物、機内持ち込み手荷物として携行でき、機長への通知も不要である。』の解釈との整合性は如何になりますか? ご教授ください。アルコールが入っていても差し支えないようなのですが? (2020.6.30)
A.
DGR 表 4.2 危険物リストにアルコール類は下記のように掲載されています。

UN3065 Alcoholic beverages アルコール量24% を超え70% 以内 – Class 3 PG III
SP A9 (5L以内の容器であれば非危険物扱い), SP A58 (24% 以下は非危険物)
UN3065 Alcoholic beverages アルコール量70% を超えたもの Class 3 PG II
---------- Alcoholic beverages アルコール量 24% 以内のもの (非危険物)
UN1987 Alcohols, n.o.s. ★ Class 3 PG II と PG III
SP A3 (規格外は非危険物), A180 (標本の輸送に1L以内なら非危険物扱い)

Hand Santizer に使用されているアルコールの量は70% を大きく超えていて、ほとんど純粋のアルコールに近く、引火性が強く、特にミスト状に噴霧される場合、炎に触れると容易に着火して危険です。コロナウイルス禍の盛んな頃、Hand Sanitizer 用のアルコールが不足し、酒造メーカーがアルコール濃度90% の酒を生産してアルコール不足を補った例があります。機内で乗客がHand Sanitizerを使うわけでもなく、預託手荷物として貨物室輸送の際は液漏れの危険もあり、70% を超える濃度のアルコールは旅客手荷物としては不適当と思われます。DGR 2.3.5.1 の “Medicinal or Toiletery Articles and Aerosols in Division 2.2” にもアルコールを含んでよいと記してありますが、掲げてある実例を見てもごく微量と思われます。従って、4月の回答『アルコールは危険物 (UN1987 Alcohols, n.o.s. Class 3) なので、Hand Sanitizer からアルコールを完全に除去して、携行してください。アルコールは旅行先で購入、充填して使用してください。個数は機内持ち込み手荷物の範囲内にしてください。』はそのまま有効な回答とします。

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