(危険物申告書の署名資格者についての質問です。)

Q.
航空会社の整備部門が航空機から取り卸した航空機部品などの社用品を輸送するに必要な危険物申告書の署名資格者についての質問です。

(1) 一般的に貨物代理店やフォワーダーがサインしても良いでしょうか?

(2) 例えば、shipperを代理店とし、混載貨物の場合で、複数の異なる危険物の荷送人がいる際のサインは正しくはそれぞれの荷送人がサインするものでしょうか?

(3) 航空会社を shipper でなく、貨物代理店を shipperとして代理店がサインすることは可能でしょうか?

ご教授ください。 (2018.8.31)
A.
危険物申告書の署名は DGR 8.1.4.1.1に明記してあります。“The declaration form must be signed and dated by the shipper or a designated representative as described below.”となっています。「荷送人」もしくは「指定代理人」が署名することになっています。ここで「指定代理人 “designated representative」と言うのは誰かと言うと、8.1.4.1.1の後段に、”It is acceptable for persons or organizations (including consolidators, freight forwarders and IATA cargo agents) employed by the shipper to act on their behalf to undertake the shipper’s responsibilities in the preparation of the consignment provided that they have been trained as required by Subsection 1.5 to sign the Shipper’s Declaration for Dangerous Goods.” 「指定代理人}とはDGR 1.5の教育訓練を受けている有資格者で、荷送人の責任を肩代わりする混載業者、フォワーダー、IATA貨物代理店で、荷送人と契約関係にある者」となっています。

なお、会社の組織上のことで、外部に出て行く責任のある正式な危険物申告書は、危険物取扱の有資格者が作成し、「会社の代表権」をもつものが署名することにしている会社もあります。会社の代表権は、会社によっても、文書の重要度によっても異なりますが、社長、担当取締役、部長、課長もしくは係長に与えられています。

以上に基づいて、質問にお答えいします。

(1) Declaration の Shipper 欄に書いてある荷送人がサインするのが一般的です。荷送人と “契約関係 (employed by)” にある場合、前述の「指定代理人」が代理にサインする事もあります。 “employed by” は「雇用関係」(給料を貰っている関係) ではなく、他の英語表現で言うと “engaged by”, “under contract” と同じ意味です。「雇用関係」ではありません。

(2) Consolidation (混載貨物) の場合は、House AWB の shipper がそれぞれの Declaration をサインします。House AWBのshipperが混載業者と「代理契約」をしていれば、混載業者が「代理署名」をしても構いません。

(3) 航空会社を shipperでなく、フォワーダーをshipperにした場合、航空会社がshipperである利点が失われてしまいます。例えば、DGR 2.5.2.1 Aircraft Sparesに書いてある航空機部品の輸送に際し、航空会社がshipperであれば Airbusや Boeingが準備した特殊容器の使用が認められますが、フォワーダーがshipperですと、すべて国連容器を使用しなければならなくなります。

整備部門とフォワーダーの間に簡単な「代理契約」を結び、フォワーダーにサイン権を与えれば、AWB上のshipper, consignee も、危険物申告書の shipper, consignee もすべて航空会社名で作成され、署名はフォワーダーが代理署名をする形態になります。

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