(危険性ラベルの区分番号表示についての質問です。)

Q.
危険性ラベルのデザインで気になったことがあります。第4分類と第6分類の危険性ラベルについて、ラベル・デザインの数字ですが、第4分類の場合、4.1, 4.2, 4.3 と区分番号が入る方が親切に感じます。第6分類であれば 6.1, 6.2 と入っていればより的確です。第5分類はラベルに5.1, 5.2と入っています。区分番号まで入れた方が良いと思います。ご見解をお聞かせください。 (2018.4.30)
A.
確かに危険性ラベルに区分番号まで入っていればより的確だと思います。しかし、これには60年以上の長い歴史があるのです。危険物の規則は1956年の第1版から完全なものではありませんでした。長年にわたる経験を積んで、徐々に良くなって来たものなのです。危険性ラベルも初期の幼稚なものから、現在使われているものに進化して来たのです。初期のラベルは分類番号や区分番号で区別せず、模様、図案、色彩で区別していました。赤い地色で「焔」の図案で “引火性” を表すと言う具合です。

5.1 と 5.2のラベルに区分番号が入っている訳は、当初、第5分類の危険性ラベルは酸化物も有機過酸化物も、全面黄色地に「焔」の模様で、どちらも全く同じでした。区別がつかないので、下隅に区分番号5.1と 5.2を挿入して区別を付けました。その後、酸化物に引火性が潜在することから、それを表すため、5.1のラベルの上半分を赤色地にし、「焔」のデザインを変えたのです。この時点で、地色で区別が出来るのですから、両方とも区分番号の表示を辞めても良かったのですが、そこまでこだわる事はないとして、5.1 と 5.2の表示はそのまま残したのです。

6.1 と 6.2 は国連の部署が WHO (World Health Organization 世界保健機構) の管轄で、ICAOではありませんが、WHO は ICAO の模様や色彩で区別する方式を採用し、ラベルの下隅には分類番号のみを表示する方式にしたのです。

第4分類のラベルは典型的な ICAO主導型のラベルで、図案と色彩を見れば、自ずと危険性が分かるようになっています。すべて「焔」の模様が表示され、4.1は引火性を表わす赤い格子模様 (第3分類と区別するため格子模様を採用)、4.2は発火性を表わすよう下半分を赤地色に、4.3は水と接触すると引火性のガスを生じる事を表すため、水色の地色になっています。区分番号よりもはるかに、危険性の性質を表しています。

すべての危険性ラベルの番号表示が区分番号まで表示するようになるためには、ICAOのDangerous Goods Panelで誰かメンバーが動議を提案しなければ議論が始まりません。私の見解では、区分番号表示は重要課題ではなく、ラベルの模様、図案、色彩で容易に区別が可能なので、動議を提出する人もいないと思います。1956年の第1版の規則書の出発点から、ラベルの区別は模様、図案、地色であって、番号でなかったことから始まって、今日の姿に進化して来た歴史を理解してください。

ちなみに、第7分類の放射性物質は ICAOではなく、IAEA (International Atomic Energy Agency 国際原子力機構) の管轄ですから、IAEA独自の規則に基づいています。最大の乖離は PG I, PG II, PG IIIの ICAO の危険度順位の付け方と、IAEAの RRW-I, RRY-II, RRY-III の放射能の濃度の順位の真逆の相違ですね。これは、相手のあることで、一朝一夕では治らないと思います。

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