(モントリオール条約の第8条の解釈を教えてください。)

Q.
モントリオール条約第8条に「二以上の貨物がある場合において、(a) 貨物の運送人は、荷送人に対し個別の航空運送状を作成することを要求する権利を有する。(b) 第4条2項に規定する他の手段を用いるときは、荷送人は、運送人に対し個別の貨物受領証を交付することを要求する権利を有する。」とあります。二個以上の荷がある場合にAWBを個別に発行するよう荷主に指示するケースは私の知る限り無いのですが、個別にAWB作成を要求することがあるとしたら、どのような場面で発生するのかについて、ご教示ください。実務面については、個別にAWBを発行した場合でも、AWB単位で貨物受託から、運送、引き渡しまでの作業手順に差異は無いため、この条文の意図するところが分かりません。
また、弊社の「国際貨物運送約款」第3条 (A) (2) に“2以上の荷がある場合又は受託貨物の全てを一航空機で運送することが出来ない場合、もしくは、受託貨物のすべてを一通の航空運送状により運送することが官公署の指示又は会社の規則に違反する場合には、会社は、航空運送状を2通以上に分割して作成するよう又は作成させるよう荷送人に要求することがあります。” と書かれています。 (2016.1.31)

A.
お尋ねのモントリオール条約第8条は、現代では殆んど死文化された条項で、元はワルソー条約の第7条に書かれている「ニ個以上の荷がある場合、貨物の運送人は、荷送人に対し個別の航空運送状を作成することを要求する権利を有する」を継承しています。揺籃期の航空輸送では複数個数の貨物はあり得ず、殆どの貨物は一個単位でした。二個以上の貨物はまれで、運送状を別に作成していたそうです。ワルソー条約の条文はヘーグ議定書で改訂されずにそのまま移行し、モントリオール第4追加議定書の第7条で第2項 (AWB 以外の書面が使用された場合 - 即ち、モントリオール条約第8条(b)で言及している ”他の手段” ) が追加され、そのままの形でモントリオール条約の第8条になっているのです。

運送約款については、IATA の モデル運送約款を土台に各航空会社が、自社の特長を加味して作成して監督官庁に届けているもので、御社の運送約款 第3条 (A) (2) の前段は揺籃期の小さい飛行機に 一個単位で運んでいた時代の遺物の文章で、後段は、例えば、AVIやVAL と通常貨物が一つの AWB では取扱が異なるので、AWB を二つに分けて欲しいと言うことではないでしょうか?

IATA のモデル国際貨物運送約款は IATA 加盟の全社が遵守しなければならないResolution (決議) ではなく、Recommended Practice 1601 (勧告 1601) Condition of Carriage for Cargo として、IATA 加盟の航空会社や Non-IATAの航空会社がインターライン輸送の円滑化の為に全社がなるべくモデル勧告に準じた約款を持つことを「勧告」しています。その勧告の第4条の 4.1項 Air Waybill の後段に“Carrier may require the shipper to make out, or have made out on his behalf, separate air waybills when there is more than one package.” と言う黎明期の遺物の文章が入っています。御社の国際約款の第3条 (A) (2) の文章は勧告 1601 のこの部分に由来していると思います。


[閉じる]


Copyright (C) 2003  Kinoshita Aviation Consultants All rights reserved.