(到着した農作物に問題があり、荷受人が受け取りを拒否しました。貨物の所有権は荷送人に移り、荷受人は損害賠償請求の権利を失っていますね。荷送人のみが損害賠償請求が出来る。この解釈で宜しいでしょうか?)

Q.
到着した農作物の貨物の一部が迷子になり、後日、発見されました。荷受人は丸一日常温に晒されていて品質が落ちたとして受け取りを拒否しました。貨物の処分権が荷送人に移りましたので、この貨物のクレームの請求権は最早、荷受人にはないと解釈してよろしいですね。 (2012.12.31)
A.
受け取り拒否と損害賠償請求権は次元の違う話です。

品質が落ちて、商品価値の無くなった農産物は関税を払ってまで輸入する意味がないので、受け取り拒否を荷受人がするのは当然のことです。受け取り拒否された貨物の処分権は荷送人に移る理屈にはなりますが、損害賠償請求権まで移るのではありません。損害賠償の請求権利は貨物を受け取ったか、受け取りを拒否したかによって権利は移動しません。

荷受人と荷送人は運送契約の当事者ですから、2年間の時効が来ない間は荷受人と荷送人が等しく持っています。生鮮食品で、品物に固有の欠陥はありますが、明らかに航空会社側の作業の手違いによって生じた損害ですから、19SDRを上限として賠償しなければなりません。航空会社側の明確な過失で、免責にはなりません。

Notice of Claimが出ていれば、賠償請求期限をクリアしたことになりますから、荷受人は後日Formal Claimを出せる環境にあります。

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