(リチウム・イオン電池の包装について教えてください。)

Q.
リチウム・イオン電池で規制されないSection IIに属するものですが、一つの内装容器の中に複数のリチウム・イオン・バッテリーを収納したものを輸送できますか? 一つ一つのリチウム・イオン電池は短絡しないようになっています。DGR PI 965 Section IIを確認すると、内装容器に入れるリチウム電池の個数は特に指定されていないようですが、実際のハンドリングはリチウム・イオン電池一つ一つを一つ一つの内装容器に入れるべきなのでしょうか? 一つの内装容器の中に複数の電池を入れて輸送しても問題ないでしょうか? (2012.6.30)

A.
リチウム電池の輸送については、先にSPACE誌2011年12月号に特集記事を書いて、その中で、リチウム電池の『温度暴走』の怖さに触れました。特にリチウム電池のみを輸送するPI 965とPI 968については気を付けなければなりません。リチウム電池は摂氏約230度で温度暴走を始めます。航空機に搭載されているハロン消火剤は炎へ酸素の供給を断つことで鎮火させる仕組みですが、リチウム火災の場合は、温度を下げないと鎮火しません。

温度を下げるには水が最適なのですが、航空機には消火用の水は積んでいません。粗悪品のリチウム電池や、国連の試験を受けていないリチウム電池は機内気圧の減圧で電池の皮が膨らみ、破裂して引火性の高い電解液を飛び散らし、自分は600度と言う高温に温度暴走を始めます。隣接している隣の電池を温度暴走させ、破裂させ、次ぎつぎと温度暴走の連鎖反応が起きます。600度と言う温度は航空機の素材であるアルミニュームの溶解温度です。機器と同梱のPI 966とPI 969、機器に装着されているPI 967とPI 970は隣のリチウム電池が隣接していないので、電池だけを輸送するPI 965とPI 968に比べれば比較的、温度暴走の危険は少なくなります。勿論、国連の試験に合格していなければなりません。

生活が益々近代化し、リチウム電池の需要が増え、技術が進歩して、リチウム電池の容量が大きくなり、逆にサイズが小さくなりました。電池のサイズが小さくなると言う事は、壁というか、皮と言うか、電池の外壁がドンドン薄くなって来ることです。巡航高度では室内気圧を80kPaまで下げます。地上との気圧差は20kPaにもなります。電池の薄い皮の中は20% 膨張します。粗悪品や国連の試験を受けていないものは、とても耐えられません。破裂します。温度が上昇し、温度暴走が始まります。水が無ければ止まりません。スペアの電池は機内持ち込みにする理由は、客室内ならば、火を吹いて、温度暴走を始めても客室乗務員が水を掛けられるからなのです。PI 965の2ベージの中段から「免除された電池」が始まります。セル、バッテリーは5.0.2.4、5.0.2.6.1と5.0.2.12.1を順守しなければいけません。次に追加要件で、電池を完全に包み込む内装容器でなければなりません。一つ一つの電池が包んであればその方が良いですが、内装容器が包み込まれていれば、中に複数の電池が入っていても、それぞれが、中でショートしないように包装されていれば構いません。1.2mからの落下試験は必須です。来年からPI 965とPI 968は、制限が厳しくなります。ホームページにトピックスとして掲載してありますから見ておいてください。


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